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第2話「機能回復の可能性」

    

〜高齢者・リハビリ対象者・ご家族・支援する専門職種のみなさまへ〜

 

少し理由があって、ご本人とご家族の同意の下、左半身麻痺の患者さんを3週間集中的にリハビリ治療しました。この方は、病気になってから4年が経っていました。2年ほど色々な病院をまわり、リハビリを続けていたようです。

 彼の身体は、半身麻痺の患者さんに特有といわれる、過剰に筋肉が縮むことにより、麻痺している側の膝は、常に伸びていました。また、左の手はまるで、必死に鉄アレーを持ち上げ続けているかのごとく、筋肉が力強く縮み、拳を顎の下に持ってきたポーズをとっていました。手は人に少し触れられただけでも、痛くて仕方がないと語っていました。

 彼に、身体の感覚について聞いてみました。真っすぐと立っているときの感じは、「目をそらすと、立っているはずの左の足は何も感じることができず、恐くてその姿勢を保っておくことはとても難しい。だから右手で、力いっぱい手すりを掴んでいる。」と話されていました。その他に困っていることも尋ねたところ、「あぐらをかきたいが、左足が曲がらない。足が、言うことを利かない。無理に膝を曲げようとすると背中から首にかけて、神経痛が走る。」と訴えていました。

 そこで、脳の機能の問題がどこにあり、身体で何が感じることができないのかを確認しながら、訓練をしました。結果的に、視線が外れていても左の身体を彼は感じることができるようになり、また、左足は軽やかな動きを取り戻し、歩いている時もしっかりと地面につき、身体を支えることができるようになりました。彼の実感は、「立っていても、しっかりと体重がのっていることが分かるから恐くない。」「重たかった身体が、めちゃくちゃ軽くなった。」「左手の痛みもとれ、軽く動くようになった。」「自分でやってみようと思い、やってみたら、あぐらをかくことができるようになった。」ということです。

リハビリでは、動きだけでなく、動くことができるという実感を取り戻すことも大切なことです。

 これも大切な機能回復の一つなんだと思います。「動くことができる」という自信から、「自分で動こう」という思いも芽生えるのでしょうね。

 ちなみに、今回行った、"人の実感"をも含めたリハビリ治療は、認知運動療法といいます。

 高望みをしても思い通りにいくとは限りませんが、ご自分の可能性を考える上で、参考にしてみてください。


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